4月に入り、やっと雪解けが始まりました。雪深い定山渓ではまだ1m近い積雪がありますが、日に日に減ってゆくのを、楽しく眺めつつ制作にいそしんでおります。
ここ数年、玄関に掛ける表札の注文がとても多くなっています。以前もお話したと思いますが
1.銅板を腐食させるエッチングによるもの。
2.切り取った文字を貼るもの—に分かれます。
今回はのエッチングの表札について、少し詳しく説明したいと思います。
まず、パソコンでベースとなる銅板の大きさに合わせて、書体を選び文字を入力します。そのままではバランスが悪いため、文字の大きさ、太さ、傾き等を調節します。銅板で仕上げた時にどうなるかを想定しながら作業を進めていきます。パソコンを使う以前は1ヶ1ヶレタリングしていたので文字列ができるまでに大きな手間がかかっていました。今でもお客様によっては完全な手書き文字や、マーク、会社のロゴ等様々な注文をいただきますので、パソコン使わず、全て手書きで行うこともよくあります。
次にカーボン紙を用いて、紙にプリントした文字を銅板に写しとります。次に酸に侵されない特殊インク(グランド液)で文字と外枠を塗ります。この状態でインクをよく乾燥させます。
乾燥したら裏面にガムテープを貼り保護します。濃度調節した酸に浸して、銅面部を腐蝕します。また、電解液中でメッキの逆の原理でエッチングすることもします。電気エッチングは通電時間をタイマーでコントロールしたり、電圧や電流をコントロールするのが容易なので当アトリエでは多くの場合この方法を用います。銅板は0.8〜1.2ぐらいを使いますが、その1/3〜1/2厚さまで溶けたら酸から出し水洗いをします。乾燥させ、溶剤でインクを洗い落とします。文字がきちんと浮き出た状態になっているか、ピンホールや変な溶け方をしていないかチェックします.OKならいつものように、いぶして磨き、ラッカー塗装をして完成です。
ホルダーもいろいろデザインしてすてきな演出をお楽しみいただけるよう頑張っております。新築のお祝いや玄関まわりのイメージアップ等にご利用下さい。