今回は当アトリエの商品の中でもちょっと特別な存在、『緑青』についてご紹介致します。
緑青は銅や銅合金(真ちゅう等)に吹く青さびのことを言います。
当アトリエではこの緑青を着色方法として用いて、アクセサリー等を制作しております。
その制作工程を簡単ではありますがご説明致しましょう。
1、真ちゅう板を切り出し、形を整え、ロウ付けします。
(ロウとは金属同士を溶着する溶接棒のことです)
ここまでは他の着色方法と同じです。
2、まずは下準備。
緑青を吹かせ易くする為に弱めの酸に入れて、表面に目では見えないほどの凸凹をつけ、荒らします。
その後、酸を洗い流し水分を飛ばした後、いよい緑青を吹かせます。<写真1>
3、緑青独特のきれいな色になるまで、酸に銅を溶かした液をかけ
バーナーで火を当てます。この作業によって地金にしっかり緑青を食い込ませます。<写真2>
ここが成功するかどうかの一番のポイント!
文字にすると簡単に感じるでしょうが、この工程が一番難しいのです。
私自身100%成功することはなかなかありません・・・。
気温、湿度を考慮し、経験と勘を最大限に生かす。
これがポイントです!(なんとあいまいな・・・)
吹かし終ったものが <写真3>
また薬品も使う大変危険な作業です。
完成後のものは無害ですが、この工程においては有害な気体が発生するのでまさに命をかけて作業しています!
4、その後は表面を削って磨き、地金と緑青の焦げた色、そして緑青の色のコントラストを手作業で生み出します。<写真4>
5、最後にラッカーをかけ、組み立てて完成。<写真5>
一見シンプルなものに見える緑青のアクセサリーですが、我々スタッフの苦労の果てに生まれた商品なんですよ。
緑青を見かけたら少しでもいいので、このことを思い出して頂ければ幸いです。
※ちなみに昔から緑青は猛毒と言われていましたが、これは誤りであると厚生省の方でも認定されているようです。
皮膚に触れたり、アクセサリーとして普段通り身につけても有害ではありませんのでご安心下さい。(またいずれ、このことにも触れてみたいと思います)